5.3.17. dumpデータソース

s-type=17のソースタイプです。s-type=17 とすることでdumpファイルに落とされた粒子情報を線源として利用できます。 パラメータ idmpmode を切り替えることにより、粒子情報の取り扱い方法として2種類を選択することができます。 idmpmode=0 の場合は、dumpファイルに記録された粒子を一つ一つの独立したイベントによる粒子であるとして統計処理を行います。 対して idmpmode=1 の場合は、dumpファイルに記録されたヒストリーとバッチの情報を利用することで、dumpファイルを作成した際のイベント情報を基に粒子間の相関を考慮した統計処理を行います。 dumpファイルを用いたつなぎ計算を行う場合は、前段階のイベント情報を考慮して統計誤差を評価できるように idmpmode=1 としてください。 [1]

このソースタイプに関連するパラメータは以下の通りです。 パラメータの順序は自由です。 (D=***) のあるものは、省略可能です。

表 5.3.172 file

説明

dumpファイル名(パスも含む)。

表 5.3.173 dump

説明

dumpデータの個数。 負で与えた時はアスキーファイル。 0の場合は、必要情報をタリー標準出力ファイルから読み込みますので、次行で各dumpデータの情報を与える必要はありません。 (次行) & dumpデータの情報。

表 5.3.174 jpsf

説明

Phase space file用の特別オプション。 z0 の指定が必要。 =1は変換時にweight無しの場合。=2は有りの場合。 hline & 以下のものが指定されたとき、dumpデータがある場合も (以下省略可能) & dumpデータより優先します。

表 5.3.175 x0

説明

下限 \(x\) 座標[cm]。

表 5.3.176 x1

説明

上限 \(x\) 座標[cm]。

表 5.3.177 y0

説明

下限 \(y\) 座標[cm]。

表 5.3.178 y1

説明

上限 \(y\) 座標[cm]。

表 5.3.179 z0

説明

下限 \(z\) 座標[cm]。

表 5.3.180 z1

説明

上限 \(z\) 座標[cm]。

表 5.3.181 sx

説明

スピンの方向ベクトルの \(x\) 成分。

表 5.3.182 sy

説明

スピンの方向ベクトルの \(y\) 成分。

表 5.3.183 sz

説明

スピンの方向ベクトルの \(z\) 成分。

表 5.3.184 dir

説明

入射粒子の \(z\) 軸方向からの方向余弦。 all を指定した時は、等方分布。 data を指定した時は、 a-type サブセクションが必要。

表 5.3.185 phi

説明

(D= all)

入射粒子の方位角[degree]。 = all; 0から360の範囲でランダムに決定。

表 5.3.186 dom

説明

(D=0.0)

入射粒子方向の立体角範囲[degree]。 = \(-1\) ; \(\cos^2\) のbiasがかかった分布。

表 5.3.187 e0

説明

(初期値無し)

(単色の場合)入射粒子のエネルギー[MeV/n]。これとe-typeのどちらかの指定が必要。

表 5.3.188 e-type

説明

(初期値無し)

(分布をもつ場合)入射粒子のエネルギー[MeV/n]。これとe0のどちらかの指定が必要。

表 5.3.189 wgt

説明

(D=1.0)

ソース粒子のウエイト。

wgt は、ソース粒子の初期ウエイトです。

以下のものも指定可能です。

表 5.3.190 factor

説明

(D=1.0)

ソース粒子のウエイトの規格化定数。 t-type = & (D=0) 時間分布.

表 5.3.191 reg

説明

(D=all)

領域を限定する。

表 5.3.192 ntmax

説明

(D=1000)

領域限定の際の最大再試行回数。

表 5.3.193 trcl

説明

(D=なし)

座標変換番号もしくは座標変換定義。

表 5.3.194 idmpmode

説明

dumpソースモードの選択。 (D=0) dumpデータが nocasnobach の情報を含まない場合。 (D=1) dumpデータが nocasnobach の情報を含む場合。 =0:dumpファイルに記録された粒子情報を1つ1つの独立したヒストリーとして 統計処理を実行する。 =1:dumpファイルを作成した際のヒストリーの情報(粒子間の相関)を考慮し 統計処理を実行する。

表 5.3.195 dmpmulti

説明

dumpファイルの使い回しの回数。 (D=0.0) idmpmode=0 の場合。 (D=1.0) idmpmode=1 の場合。 =0.0:(maxcas*maxbch) で指定した全ヒストリー数の計算が終了するま で使いまわす。 ただし、 idmpmode=1 の場合は指定できない。 \(>\) 0.0:指定した回数だけ粒子情報を使いまわす。 小数点以下の数字はデータを確率的に採用(ロシアンルーレット)することで考 慮する。

idmpmode=1 を使用するためには、使用するdumpデータにヒストリー番号(nocas)とバッチ番号(nobch)が含まれている必要があります。 PHITSのタリー出力によりdumpファイルを生成すると、ファイル名に _dmp が付いたdumpファイルと共に _dmp が付かない通常のタリーファイルが生成されますが(08章「dumpファイルの処理」参照)、 idmpmode=1 を使用するためには、この通常タリーファイルも必要とされますので、使用するdumpファイルと同じフォルダに配置してください。 idmpmode=1 では、この通常タリーファイルから前段階の maxcas,maxbch の情報を読み込みます。 これによりインプットファイルに記述した maxcas,maxbch の値は無視されます。 また、 idmpmode=1 ではソースの規格化定数 totfact の値が無視されます。 ソースの規格化定数 totfact を乗じた計算を行いたい場合は、dumpファイルを作成する前段階の計算において乗じるようにしてください。 dumpファイル内の粒子のウェイト値に反映されます。 idmpmode=1 はマルチソースと同時に使うことはできません。 また、 stdcutbatch.out を使って計算を途中で止めた場合は、結果が正しく規格化されなくなりますので、必ず計算は最後まで実行するようにしてください。

dmpmulti は dump ファイルの使い回しの回数を制御します。 dmpmulti=2.0 の場合、dump ファイルを 2 回使い回しますが、具体的には、1 個の粒子情報に対してウエイト値を 0.5 倍した 2 個の粒子を線源として発生させた計算を実行します。 小数点以下の数字は、使い回す回数をもう 1 つ増やすかどうかに関連し、各々の粒子情報に対して乱数により決定します。例えば、 dmpmulti=2.3 の場合、使い回す回数が 70% の確率で 2 回、30% の確率で 3 回となります。 また、 dmpmulti=0.0 を指定した場合は、 maxcas, maxbch で指定される全イベントが終了するまで、dump ファイルを使い回します。ただし、これは idmpmode=0 でのみ有効となります。

dump ファイルを線源として使う計算では、基本的に再開始計算( istdev < 0 )はできません。 dmpmulti=0.0 の時のみ可能ですが、この場合は idmpmode=0 となるため、dump データの粒子情報を 1 つ 1 つの独立したヒストリーとして扱うことになり、データが十分にないと統計的に偏った結果を与えることになります。 よって、統計量を増やした結果を得るためには、基本的には dmpmulti の値を大きく取って再度計算してください。ただしこの場合も、dump ファイルにあるデータ量が十分でないと、 dmpmulti を増やしても、求める精度まで統計誤差が小さくならない可能性があるのでご注意ください。 データ量が少ない場合は、dump ファイルにデータを蓄える計算の段階からやり直す必要があります。

dump データの情報は、自動読込( dump=0 )の場合を除いて、dump パラメータでデータの個数を指定します。正で与えた時はバイナリーファイルの読み込み、負で与えた時はアスキーファイルの読み込みをします。 次の行に1つの線源情報のデータの並びを 表 6.7.1 にある粒子情報番号を用いて指定します。

例えば、9つのデータが次の順番で並んでいる時、

kf  e  wt  x  y  z  u  v  w

このデータを読み込むには、

dump = 9
  1  8  9  2  3  4  5  6  7

と指定します。