5.3.10. 位相空間線源

s-type=11のソースタイプです。ビーム方向に垂直な位相空間で指定するソース分布です。 加速器におけるRMSエミッタンス(エネルギーによる規格化はされていません)の線源を模擬する際、有用となります。 以下、位相空間線源で必要なパラメータを示します。 パラメータの順序は自由です。 (D=***) のあるものは、省略可能です。

表 5.3.97 x0

説明

(D=0.0)

ビーム中心の \(x\) 座標[cm]。

表 5.3.98 y0

説明

(D=0.0)

ビーム中心の \(y\) 座標[cm]。

表 5.3.99 z0

説明

(D=0.0)

\(z\) 軸方向の下限[cm]。

表 5.3.100 z1

説明

(D=0.0)

\(z\) 軸方向の上限[cm]。

表 5.3.101 rx

説明

(D=0.0)

\(x\) 方向における位相空間の楕円の傾き[rad]。

表 5.3.102 ry

説明

(D=0.0)

\(y\) 方向における位相空間の楕円の傾き[rad]。

表 5.3.103 wem

説明

(D=0.0)

位相空間からのサンプリング方法( 図 5.3.3 参照)。 wem>0 :位相空間に一様な線源。 wem はRMSエミッタンス[ \(\pi\) cm \(\times\) mrad]を表す。 wem = 0:位相空間にガウス分布する線源。

表 5.3.104 x1

説明

(D=0.0)

\(x\) 方向の最大半径/最大角度の比[cm/mrad]。 (wem>0 の場合) rx=0 における \(x\) 方向のガウス分布標準偏差[cm]。 (wem=0 の場合)

表 5.3.105 y1

説明

(D=0.0)

\(y\) 方向の最大半径/最大角度の比[cm/mrad]。 (wem>0 の場合) ry=0 における \(y\) 方向のガウス分布標準偏差[cm]。 (wem=0 の場合)

表 5.3.106 xmrad1

説明

(D=0.0)

rx=0 における \(x\) 方向角度のガウス分布標準偏差[mrad]。 (wem=0 のみ有効)

表 5.3.107 ymrad1

説明

(D=0.0)

ry=0 における \(y\) 方向角度のガウス分布標準偏差[mrad]。 (wem=0 のみ有効)

表 5.3.108 x2

説明

(D=0.0)

\(x\) 方向の位相空間中心[cm]。

表 5.3.109 y2

説明

(D=0.0)

\(y\) 方向の位相空間中心[cm]。

表 5.3.110 xmrad2

説明

(D=0.0)

\(x\) 方向角度の位相空間中心[mrad]。

表 5.3.111 ymrad2

説明

(D=0.0)

\(y\) 方向角度の位相空間中心[mrad]。

表 5.3.112 dir

説明

(D=1)

入射粒子の軸方向の方向余弦。1 か \(-1\) のみ指定可能。

表 5.3.113 e0

説明

(初期値無し)

(単色の場合)入射粒子のエネルギー[MeV/n]。これとe-typeのどちらかの指定が必要。

表 5.3.114 e-type

説明

(初期値無し)

(分布をもつ場合)入射粒子のエネルギー[MeV/n]。これとe0のどちらかの指定が必要。

source phasespace

図 5.3.3 位相空間からのサンプリング方法。

サンプリングされた位相空間座標が \((X,X^\prime), (Y,Y^\prime)\) の場合、位相空間の傾きと中心のずれを考慮した後の座標 \((X_m,X_m^\prime), (Y_m,Y_m^\prime)\) は以下の数式で計算されます。

\[ \begin{align}\begin{aligned}X_m = X\cos(rx) - X^\prime \sin(rx) + x2\\X_m^\prime = X\sin(rx) + X^\prime\cos(rx) + xmrad2\\Y_m = Y\cos(ry) - Y^\prime\sin(ry) + y2\\Y_m^\prime = Y\sin(ry) + Y^\prime\cos(ry) + ymrad2\end{aligned}\end{align} \]

最終的な線源の発生位置 \(x\) [cm], \(y\) [cm] 及びその方向ベクトル \((u,v,w)\) は以下の計算式で決定されます(ただし dir=1.0 の場合)。

\[ \begin{align}\begin{aligned}x = X_m + x0\\y = Y_m + y0\\u = \frac{\tan(X_m^\prime/1000)} {\sqrt{1.0 + \tan^2(X_m^\prime/1000) + \tan^2(Y_m^\prime/1000)}}\\v = \frac{\tan(Y_m^\prime/1000)} {\sqrt{1.0 + \tan^2(X_m^\prime/1000) + \tan^2(Y_m^\prime/1000)}}\\w = \frac{1.0} {\sqrt{1.0 + \tan^2(X_m^\prime/1000) + \tan^2(Y_m^\prime/1000)}}\end{aligned}\end{align} \]

例えば、位相空間にガウス分布する線源で \(10\pi\) mm\(\cdot\)mrad の rms エミッタンスを設定したい場合、 wem=0 とした上、 x1=0.2 、 xmrad1=5.0 というように、 \(x\)xmrad\(\pi\) の積、つまり位相空間図上の距離 rms と角度 rms で表される楕円面積( x1 * xmrad * pi mm\(\cdot\)mrad)の大きさを包括する 2 次元ガウス分布を設定します。

なお、 x2xmrad2 などは、ビーム軸やビーム発散角の軸のずれを表現するためのパラメータで、理想的なビームに対しては 0 となります。

一方、 wem > 0 の場合は、 \(x=\sqrt{wem \cdot x1}\)xmrad \(=\sqrt{wem/x1}\)\(\pi\) の積で表される位相空間上の楕円の中に、発生線源のすべてが一様に収まるような分布の線源となります。

この時、楕円の内部以外の部分には線源分布は発生しませんので、一般的な加速器ビームを模擬する場合は、 wem=0 を選択して、rms エミッタンスで表現される分布以外にも粒子分布を発生することができる 2 次元ガウス分布形状にしてお使いください。