5.21. [ Forced Collisions ] セクション¶
強制衝突(forced collisions)は、特定の領域において衝突の確率を人為的に上げて2次粒子のタリー効率を上げるために利用します。 薄膜ターゲットや厚いターゲットでも衝突断面積が低くほとんどの入射粒子が衝突しない状況において有用となります。 強制衝突の領域に入った指定された粒子は、ふたつに分離されます。 ひとつはその領域の透過確率をその重みにかけた粒子で、次の領域まで透過させます。 もうひとつは、( 1 - 透過確率 )を乗じた重みを持った粒子で、この強制衝突の領域で強制的に衝突を起こさせます。 非荷電粒子の場合、透過確率は入射粒子の断面積に従って計算し、衝突位置は領域内で一様となるように確率的に決定します。 一方、荷電粒子の場合は、強制衝突領域をいくつかに分割して各領域でのエネルギー損失と衝突確率を事前に決定し、その確率に従って衝突位置をサンプリングします。 その分割数は全ての強制衝突領域で共通で、[parameters]セクションのnfcseg(D=50)で定義します。 なお、[forced collisions]を使わない場合の反応確率が約10%を超えるような場合に[forced collisions]を使うと正しい結果が得られませんのでご注意ください。
強制衝突の領域と強制衝突係数をこのセクションで指定します。 定義されない領域の強制衝突係数は、ゼロにセットされます。
このセクションは、6つまで定義することができます。
書式は以下の通りです。
[ Forced Collisions ]
part = proton neutron
reg fcl
1 1.000000
11 0.500000
( { 2 - 5 } 8 9 ) 0.200000
( 11 12 15 ) 0.300000
( 6<10[1 0 0]<u=3 ) -0.500000
... ...
... ...
最初の行にpart = の書式で粒子を指定します。 省略した時のデフォルトは、part = allで全粒子です。 ただし、電子、陽電子は強制衝突はできません。 part = の書式の詳細はタリーの粒子指定と同じ書式です。 しかし、指定できるのはitypとしての区別だけです。 それぞれの原子核などは、個別には指定できません。
領域番号(reg)と(fcl)の順番を変えたいときは、fcl reg とします。読み飛ばしコラム用の non も使えます。
同じ値の領域をまとめて書く、( { 2 - 5 } 8 9 ) という書式も使えます。
また、( 6 < 10[1 0 0] < u=3 ) などの lattice, universe 構造も指定できます。 ただし、単一の数字で無い場合は必ず( ) で括ってください。
この書式を用いればlatticeのひとつひとつに異なるforced collision factorを定義することも可能です。 上の定義で、同じセルが二重に定義された時は、初めに定義された値が採用されます。
強制衝突の係数fclは次の様な意味を持ちます。 まず、ゼロは強制衝突をさせません。 \(|fcl| > 1\) はエラーです。 \(|fcl| \le 1\) の時は、強制衝突の確率を \(|fcl|\) 倍します。 その分、強制衝突粒子の重みを \(1/|fcl|\) 倍します。
強制衝突領域での多重散乱とweight cutoffとの関係では、次のふたつのオプションがあります。 \(fcl < 0\) の時、強制衝突による生成粒子は通常の衝突をさせます。 その時 weight cutoff は行いません。 \(fcl > 0\) の時、強制衝突による生成粒子も更に強制衝突をさせます。この時、そのたびに weight cutoff を行います。 また、タリーはweight cutoffの前に行います。 この関係を良く理解してweight cutoffと強制衝突の係数を決めないと、強制衝突はさせたが出てきた粒子は全て殺されてしまうということもあり得ます。 例えば、強制衝突で発生させた2次粒子の軌跡や強制衝突領域から離れた場所における粒子の情報をタリーする場合が該当します。 この場合、[parameters]セクションにおいてウェイトカットオフwc1(i)を低く設定する必要があります。