5.11. [ Delta Ray ] セクション

このセクションでは、物質中を荷電粒子が通過した場合にその飛跡周辺に発生するノックアウト電子( \(\delta\) 線)を2次粒子として発生させる機能をコントロールします。 荷電粒子が通過する物質に与えるエネルギーは、通常LET( \(\frac{dE}{dx}\) )として評価 され、その軌道上にのみ付与されます。 しかし、高エネルギーの \(\delta\) 線が発生した場合などは、その輸送によって1次粒子の軌道から離れた位置にエネルギーが付与されることが知られており、本セクションを利用することでその影響を調べることが可能となります。 \(\delta\) 線生成断面積は、ButtsとKatzの式 [1] より計算し、そのエネルギーや角度を決定する際は相対論を考慮しています

本機能と[t-sed]タリーは併用できませんのでご注意ください。

真空 (void) 以外の領域毎に、 \(\delta\) 線を発生させるしきい値エネルギー \(E_{\rm th}\) (単位は MeV)を決めることができ、この値より高いエネルギーの \(\delta\) 線を実際に 2 次粒子として発生させます。 \(E_{\rm th}\) 以下の \(\delta\) 線の寄与は通常の LET で評価しており、 設定できる \(E_{\rm th}\) の最小値は 0.001 MeV (\(=1\ \mathrm{keV}\)) です。 ただし、 \(E_{\rm th}\) を 10 keV 以下に設定したり、 \(\delta\) 線を発生させる領域 の厚さをおおよそ \(10\ \mu\mathrm{g/cm^2}\) 以下に設定すると、荷電粒子の挙動が多少変 化しますのでご注意下さい。具体的には、荷電粒子の実効的な阻止能が、 \(\delta\) 線を多く放出しすぎることにより高くなってしまいます。 また、1 MeV 以下の荷電粒子による \(\delta\) 線生成を計算したい場合は emin(1), emin(i=15-19) を 1 keV に設定する必要があります。 [delta ray] セクションを利用しない場合は、 \(E_{\rm th}\) にデフォルトの値と して \(1.0\times10^{10}\) が入っており、事実上 \(\delta\) 線は発生しません。 領域番号と \(E_{\rm th}\) はそれぞれ reg, del で指定します。

書式は以下の通りです。

[ delta ray ]
  reg  del
  1    0.1
  11   1.0
  ...  ...
  ...  ...

同じ値の領域をまとめて書く、( { 2 - 5 } 8 9 ) という書式も使えます。 ただし、単一の数字で無い場合は必ず( )で括ってください。 しかし、( 6 < 10[1 0 0] < u=3 ) などの lattice, universe 構造は使えません。 領域番号(reg)としきい値エネルギー(del)の順番を変えたいときは、del regとします。 読み飛ばしコラム用の non も使えます。