7.12. [ T-SED ] セクション¶
PHITS は、巨視的な体系内での放射線挙動を解析する計算コードですので、 マイクロドジメトリなどで使われる DNA や細胞サイズの微視的な領域内での付与 エネルギー(lineal energy (\(y\)) もしくは specific energy (\(z\)))分布を、 [t-deposit] や [t-heat] などを用いて直接計算することはできません。 そこで、飛跡構造解析の結果に基づいて構築した計算式を用いて、微小領域に おけるエネルギー付与分布を計算するタリー [t-sed] を導入しました。 このタリーを用いれば、\(\delta\) 線やオージェ電子による寄与も 考慮して、微小領域における \(y\) 分布や \(z\) 分布を計算することができます。 なお、sed の名前の由来は、Specific Energy Distribution です。 計算方法の詳細は、下記の文献 [1] [2] を参照してください。 また、[delta ray] セクションによってコントロールする \(\delta\) 線の発生機能は、 本タリーとは併用できませんのでご注意ください。 本タリーを使用する場合は、EGS モードを On にして電子・陽電子のカットオフエネルギーを 10 keV もしくは 100 keV に指定してください (negs=1 or 2; emin(12-13)=0.01 or 0.1)。
[t-sed] は任意の物質中の微小領域内付与エネルギー分布をタリーします。 ただし、水以外の物質に対する精度検証は行っていませんので、ご注意ください。 その際、[t-heat] と異なり、dose は、荷電粒子のエネルギー付与だけを タリーします。したがって、[t-sed] を使い中性子の輸送計算を行う場合は、 event generator mode (e-mode>=1) にする必要があります。 微小領域の付与エネルギーを表す単位として、deposit energy \(\varepsilon\) (MeV)、 lineal energy \(y\) (keV/um)、specific energy \(z\) (Gy) があります。 各単位の詳細は、ICRU Report 36 をご参照ください。
value |
explanation |
reg, r-z, xyz |
メッシュ型。 メッシュ型サブセクションが必要です。 |
value |
explanation |
(省略可) |
reg メッシュに対して各領域の体積を定義します。 このオプションの下に体積定義サブセクションが必要です。 ここで定義しない場合は、 [volume] で定義した値が用いられます。 reg= に ( ) を用いた特殊な領域指定を行い、この volume サブセクションを定義しない場合は、内部で定義された領域番号が input echo に出力されます。 |
reg vol |
体積定義。 詳細は [volume] セクションを参照してください。 |
value |
explanation |
72 (default) |
体積入力 echo における1行あたりの最大カラム数。 |
value |
explanation |
0, 1 (D=0) |
0: old model(文献 [1], [2])。 1: new model (paper under preparation) |
value |
explanation |
0, 1, 2, 3 |
微小領域の付与エネルギー単位。 0: Number of ionizations and electronic excitations. model=1 のときのみ選択可。 1: Deposit energy \(\varepsilon\) [MeV] 2: Lineal energy \(y\) [keV/um] 3: Specific energy \(z\) [Gy] |
value |
explanation |
(省略可、D=1.0) |
ターゲット領域(球)の直径。単位は um で 0.001-2.0 まで指定可能。 負値で指定した場合は、酸素からの Auger 電子によるピークを考慮しません。 |
value |
explanation |
1, 2, 3, 4, 5 |
付与エネルギーメッシュ(単位は se-unit で指定)。
メッシュサブセクションの定義方法は 6.6.1 章 を参照。
(ne, emin, emax などで指定)。
実行中に |
value |
explanation |
all (省略時), 粒子名 |
タリーする粒子。 |
value |
explanation |
sed, reg, x, y, z, r |
出力データの x 軸。 |
xy, yz, xz, rz |
2次元表示。 |
value |
explanation |
(省略可, D=part) |
画像出力ファイルで同じページに表示するデータの種類。 axis で定義できるパラメータを指定できます。 |
value |
explanation |
|
出力ファイル名を定義します。 これは axis の各設定に対して必要です。 |
value |
explanation |
(省略可, D=file) |
restart 計算で過去の tally を読み込むファイル名を定義します。 axis を複数定義していても、指定する resfile は1つだけです。 |
value |
explanation |
1, 2, 3, 4, 5, 6 |
1: Track [cm/(keV/um)/source] 2: Dose [MeV/(keV/um)/source] \(y*f(y)\) に比例 3: Track [cm/ln(keV/um)/source] 4: Dose [MeV/ln(keV/um)/source] \(y*d(y)\) に比例 5: Track [cm/source] 6: Dose [MeV/source] |
7, 8 |
7: \(y*f(y)\) [dimensionless] ただし \(\int f(y)dy=1\) に規格化。 8: \(y*d(y)\) [keV/um] ただし \(\int d(y)dy=1\) に規格化。 se-unit=2 の場合です。 se-unit=1,3 の場合は、[keV/um] が [MeV] もしくは [Gy] となります。 |
value |
explanation |
(省略可, D=1.0) |
規格化定数。 |
Version 3.02 より新たな unit=7,8 が加わりました。 どちらもマイクロドジメトリ分野でよく使われる形式で、\(f(y)\) と \(d(y)\) は、それぞれ lineal energy, \(y\) に対する飛跡及び線量の 確率密度 (probability density function) を表します。 unit=7,8 の結果は、それぞれ unit=2,4 の結果と比例関係にありますが、 前者は確率密度の積分値が 1 に規格化されているため、その絶対値が異なります。 また、sum over の代わりに、unit=7 の場合は頻度平均(Frequency mean)、 unit=8 の場合は線量平均(Dose mean)の値が出力されます。 ただし、その誤差は出力されません(常に 0.000 となる)。 なお、unit=7,8 は、axis=sed のみ有効となります。
value |
explanation |
(省略可) |
タイトル。 |
value |
explanation |
(省略可) |
ANGEL パラメータ。 |
value |
explanation |
(省略可) |
ANGEL パラメータの特別な書式。 |
value |
explanation |
1, 2, 3, 4, 5, 6, 7 |
2次元表示のオプション。 |
(省略可, D=3) |
value |
explanation |
0 (default), 1, 2, 3, 4, 5 |
mesh=xyz かつ axis=xy,yz,xz の場合に、このオプションで領域境界(1)、物質名(2)、領域名(3)、LAT番号(4)を表示します。 gshow=5 は、 icntl=8 の場合にピクセル形式で物質色のみを表示します。 |
value |
explanation |
0 (default), 1, 2, 3 |
mesh=reg,tet かつ axis=xy,yz,xz の場合に、このオプションで領域境界(1)、物質名(2)、領域名(3)を表示します。 このオプションの下に xyz メッシュサブセクションが必要です。 |
value |
explanation |
2 (default) |
gshow または rshow を指定した際の lattice および連続四面体の境界線に関するオプション。 |
0 |
描画しない。 |
1 |
描画する。 ただし、ボクセルファントムの線は明瞭に描画されないことがあります。 |
2 |
同じセル内の線は描画しない。 |
3 |
同じ物質内の線は描画しない。 この場合、同じ物質で満たされた隣接セルの境界は、lattice や連続四面体でなくても描画されません。 また、 gshow>=3 の場合でもセル番号や LAT 番号は表示されなくなります。 |
value |
explanation |
(省略可) |
\(x\) 軸タイトル。 |
value |
explanation |
(省略可) |
\(y\) 軸タイトル。 |
value |
explanation |
(省略可) |
\(z\) 軸タイトル。 |
value |
explanation |
1 (default) |
gshow または rshow オプションの時、領域境界を求める分解能を各辺 resol 倍します。 |
value |
explanation |
0.5 (default) |
線の太さを定義します。 |
value |
explanation |
(省略可) |
r-z または xyz メッシュに対する座標変換番号、またはその定義。 |
value |
explanation |
(省略可) |
タリーする物質を指定します。 |
all |
all が default で、未定義と同じです。 |
物質数 |
物質数を指定し、次の行で物質番号を定義します。 この値を負値にすると、指定した物質をタリー対象から除外します。 |
(次の行) |
2 5 8 のように物質番号を指定します。 |
value |
explanation |
(省略可, D=9) |
xyz メッシュで material を定義した場合に、各メッシュの体積値を補正するオプションです。 0 は補正なしを意味します。 volmat の値は、1つの xyz メッシュ辺を何分割して走査するかを表します。 |
value |
explanation |
(省略可) |
LET (\(dE/dx\)) を評価する物質番号。
省略時は、実際の物質です。
物質を指定する場合の密度は、[Material] セクションで定義された密度となります。
したがって、水に対する LET 分布を計算したい場合、[Material] セクションで、
水の密度が 1 g/cm^3 となるように定義する必要があります。
また、負の場合は電子・陽電子の \(dE/dx\) として 1 g/cm^3 の水に対する値が参照されます。
詳しくは、 |
value |
explanation |
(省略可, D=1.0) |
letmat で定義した物質の密度 [g/cm^3]。 [t-sed] は水に対して開発されたモデルですが、水以外の物質に適用する 場合は rhomat の定義が必要となります。 |
value |
explanation |
0 (default), 1, 2 |
epsout=1 では、結果を eps ファイルとして出力します。
ファイル名は拡張子を |
value |
explanation |
part の数 (default) |
eps ファイルに表示する part の数を指定します。 このパラメータはタリー eps ファイルに表示する粒子数だけを制限し、数値データファイルには影響しません。 |
value |
explanation |
(省略可, D=-9999) |
i 番目の counter の最小値。 |
value |
explanation |
(省略可, D=9999) |
i 番目の counter の最大値。 |
value |
explanation |
(省略可, D=-9999) |
i 番目の history-counter の最小値。 このパラメータは batch variance mode の istdev=1 では指定できません。 |
value |
explanation |
(省略可, D=9999) |
i 番目の history-counter の最大値。 このパラメータは batch variance mode の istdev=1 では指定できません。 |
value |
explanation |
(省略可, D=-1) |
STD cut off のしきい値。 |
stdcut を指定すると、PHITS は STD、すなわち標準偏差の値に応じて自動的 に計算を停止します。 この機能は stdcut が正で、 [parameters] セクションにおいて itall=0,1 を指定した場合に利用できます。 1バッチの最後に、タリー結果の STD の相対値がすべて 0 より大きく stdcut より小さい場合、計算は停止します。 2つ以上のタリーセクションで stdcut を設定した場合は、それらすべてが 条件を満たした時にこの機能が動作します。