7.7. [ T-Heat ] セクション

カーマ近似を用いて付与エネルギー(発熱)を出力するタリーです。 ただし、バージョン 3.05 以降 [t-deposit] でも同様の計算が可能となったため、それ以降のバージョンでは利用を奨励していません。

なお、イベントジェネレータモードを用いた場合、 e-mode>=1 では中性子のカーマ近似は用いません。 また、 electron=1 かつ電子の輸送を含んでいる時は、光子のカーマ近似は用いずに電子の付与エネルギーから計算します。

表 7.7.1 mesh

value

explanation

reg, r-z, xyz

メッシュ型。 メッシュ型サブセクションが必要です。

表 7.7.2 axis

value

explanation

reg, x, y, z, r

出力データの \(x\) 軸。

xy, yz, xz, rz

2次元表示。

表 7.7.3 samepage

value

explanation

(省略可, D=part

画像出力ファイルで同じページに表示するデータの種類。 axis で定義できるパラメータを指定できます。

表 7.7.4 file

value

explanation

file name

出力ファイル名を定義します。 これは axis の各設定に対して必要です。

表 7.7.5 resfile

value

explanation

(省略可, D=file

restart 計算で過去の tally を読み込むファイル名を定義します。 axis を複数定義していても、指定する resfile は1つだけです。

表 7.7.6 material

value

explanation

(省略可)

タリーする物質を指定します。

all

all が default で、未定義と同じです。

物質数

物質数を指定し、次の行で物質番号を定義します。 この値を負値にすると、指定した物質をタリー対象から除外します。

(次の行)

2 5 8 のように物質番号を指定します。

表 7.7.7 output

value

explanation

heat

total: 全付与エネルギー leakage: 外部ボイドに出ていった粒子の運動エネルギー recoil: 計算打切エネルギー emin(15-19) 設定時の残留核の運動エネルギー ionization: 荷電粒子のエネルギー損失による付与エネルギー low neutron: 中性子カーマ係数を用いた際の付与エネルギー photon: 光子カーマ係数を用いた際の付与エネルギー electron=1 のときは、カットオフ電子による付与エネルギー others: 残留核の残留エネルギー igamma=1 の場合、励起状態にある残留核から光子が放出されるのでゼロに近づきます。

simple

total: 全付与エネルギー leakage: 外部ボイドに出ていった粒子の運動エネルギー recoil: 計算打切エネルギー emin(15-19) 設定時の残留核の運動エネルギー ionization: 荷電粒子のエネルギー損失による付与エネルギー low neutron: 中性子カーマ係数を用いた際の付与エネルギー photon: 光子カーマ係数を用いた際の付与エネルギー electron=1 のときは、カットオフ電子による付与エネルギー others: 残留核の残留エネルギー igamma=1 の場合、励起状態にある残留核から光子が放出されるのでゼロに近づきます。

all

simple の結果に加えて、recoil に対する \(d\), \(t\), \(^3\mathrm{He}\), \(\alpha\), residual nuclei の寄与を書き出します。 ionization に対する \(p\), \(\pi^+\), \(\pi^-\), others の寄与を書き出します。 ionization に関しては part で指定した粒子の寄与も出力しますが、eps ファイルには出力されません。 stopped particle: 物質中で停止した粒子の運動エネルギーの proton, neutron, \(\pi^+\), \(\pi^-\), others の寄与を書き出します。 stopped particle に関しては part で指定した粒子の寄与も出力しますが、eps ファイルには出力されません。 others: 残留核の励起エネルギーと fission の成分が出力されます。 axis が 2 次元表示のときは、 allsimple と同じで、total, recoil, ionization, low neutron, electron, others が出力されます。

表 7.7.8 part

value

explanation

粒子名 (省略可)

output=all の場合に、ここで指定した荷電粒子による付与エネルギーである ionization 成分と、物質中で停止した粒子のエネルギー量である stopped particle 成分を出力します。 ただし、eps ファイルには出力されません。 また、カーマ近似を使用した計算において光子と中性子による寄与を調べる場合、 part=photon neutron としてもこれらの寄与を区別できません。 各々の寄与を求める場合は output=simple として出力される内容を確認してください。

表 7.7.9 unit

value

explanation

0, 1, 2

0: [Gy/source] 1: [MeV/cm \(^3\) /source] 2: [MeV/source]

表 7.7.10 factor

value

explanation

(省略可, D=1.0

規格化定数。

表 7.7.11 title

value

explanation

(省略可)

タイトル。

表 7.7.12 angel

value

explanation

(省略可)

ANGEL パラメータ。

表 7.7.13 sangel

value

explanation

(省略可)

ANGEL パラメータの特別な書式。

表 7.7.14 2d-type

value

explanation

1, 2, 3, 4, 5, 6, 7

2次元表示のオプション。

(省略可, D=3

表 7.7.15 x-txt

value

explanation

(省略可)

\(x\) 軸タイトル。

表 7.7.16 y-txt

value

explanation

(省略可)

\(y\) 軸タイトル。

表 7.7.17 z-txt

value

explanation

(省略可)

\(z\) 軸タイトル。

表 7.7.18 gshow

value

explanation

0 (default), 1, 2, 3, 4, 5

mesh=xyz かつ axis=xy,yz,xz の場合に、このオプションで領域境界(1)、物質名(2)、領域名(3)、LAT番号(4)を表示します。 gshow=5 は、 icntl=8 の場合にピクセル形式で物質色のみを表示します。

表 7.7.19 rshow

value

explanation

0 (default), 1, 2, 3

mesh=reg,tet かつ axis=xy,yz,xz の場合に、このオプションで領域境界(1)、物質名(2)、領域名(3)を表示します。 このオプションの下に xyz メッシュサブセクションが必要です。

表 7.7.20 resol

value

explanation

1 (default)

gshow または rshow オプションの時、領域境界を求める分解能を各辺 resol 倍します。

表 7.7.21 width

value

explanation

0.5 (default)

線の太さを定義します。

[t-heat] について全般的に言えることですが、最終的に熱に変換するエネルギーは、荷電粒子の ionization の過程を通してです。 しかしながら、輸送コードの中では cutoff エネルギーがあり、最後の過程まで追わずに輸送を終了します。 従って、熱の成分として recoil や others などの成分が出力されます。 これらの成分は、輸送のパラメータにより変化します。

表 7.7.22 volume

value

explanation

(省略可)

reg メッシュに対して各領域の体積を定義します。 このオプションの下に体積定義サブセクションが必要です。 ここで定義しない場合は、 [volume] で定義した値が用いられます。 reg=( ) を用いた特殊な領域指定を行い、この volume サブセクションを定義しない場合は、内部で定義された領域番号が input echo に出力されます。

reg vol

体積定義。 詳細は [volume] セクションを参照してください。

表 7.7.23 iechrl

value

explanation

72 (default)

体積入力 echo における1行あたりの最大カラム数。

表 7.7.24 volmat

value

explanation

(省略可, D=9

xyz メッシュで material を定義した場合に、各メッシュの体積値を補正するオプションです。 0 は補正なしを意味します。 volmat の値は、1つの xyz メッシュ辺を何分割して走査するかを表します。

表 7.7.25 epsout

value

explanation

0 (default), 1, 2

epsout=1 では、結果を eps ファイルとして出力します。 ファイル名は拡張子を .eps に置き換えたものになります。 epsout=2 では、2次元型の axis=xy, yz, xz, rz を除き、eps ファイルにエラーバーも表示します。

表 7.7.26 bmpout

value

explanation

0 (default), 1

2次元タリー出力の Bitmap 図を生成します。 このファイル名は拡張子を .bmp に置き換えたものになります。 mesh=xyz かつ axis=xy, yz, xz の場合に利用できます。

表 7.7.27 vtkout

value

explanation

0 (default), 1

xyz メッシュのタリー結果を ParaView の入力形式で出力します。 このファイル名は拡張子を .vtk に置き換えたものになります。 mesh=xyz かつ axis=xy, yz, xz の場合に利用できます。

表 7.7.28 vtkfmt

value

explanation

0 (default), 1

ParaView 用出力ファイルの形式。 0: ascii、 1: binary。

表 7.7.29 electron

value

explanation

0 (default), 1

電子の寄与のオプションです。 0: 光子のカーマ係数を使います。 1: 電子のエネルギー付与から計算します。 この場合、電子の輸送が必要です。

表 7.7.30 ctmin(i)

value

explanation

(省略可, D=-9999

i 番目の counter の最小値。

表 7.7.31 ctmax(i)

value

explanation

(省略可, D=9999

i 番目の counter の最大値。

表 7.7.32 chmin(i)

value

explanation

(省略可, D=-9999

i 番目の history-counter の最小値。 このパラメータは batch variance mode の istdev=1 では指定できません。

表 7.7.33 chmax(i)

value

explanation

(省略可, D=9999

i 番目の history-counter の最大値。 このパラメータは batch variance mode の istdev=1 では指定できません。

表 7.7.34 trcl

value

explanation

(省略可)

r-z または xyz メッシュに対する座標変換番号、またはその定義。

表 7.7.35 gslat

value

explanation

2 (default)

gshow または rshow を指定した際の lattice および連続四面体の境界線に関するオプション。

0

描画しない。

1

描画する。 ただし、ボクセルファントムの線は明瞭に描画されないことがあります。

2

同じセル内の線は描画しない。

3

同じ物質内の線は描画しない。 この場合、同じ物質で満たされた隣接セルの境界は、lattice や連続四面体でなくても描画されません。 また、 gshow>=3 の場合でもセル番号や LAT 番号は表示されなくなります。

unit=0 とした場合、 [Gy/source] を単位とする吸収線量が出力されます。 mesh=reg の場合は、 volume パラメータを用いるか、 [volume] セクションにおいて各領域の体積を設定する必要があります。 ただし、吸収線量は不可算量ですので、各 \(x\) 軸に関する積分値は出力されません。 また、領域内に複数の物質が混在する場合、その領域の吸収線量は全体の平均値とはなりません。 例えば、領域 1 と 2 にある質量 \(M_1\)\(M_2\) の物質にそれぞれ \(E_1\)\(E_2\) の熱量が吸収された場合、その平均吸収線量は \(\frac{E_1+E_2}{M_1+M_2}\) ですが、PHITS で計算する値は \(\frac{E_1}{M_1}\frac{V_1}{V_1+V_2}+\frac{E_2}{M_2}\frac{V_1}{V_1+V_2}\) となります。 ここで、 \(V_1\)\(V_2\) はそれぞれ領域 1 と 2 が占める体積を表します。

表 7.7.36 stdcut

value

explanation

(省略可, D=-1

STD cut off のしきい値。

stdcut を指定すると、PHITS は STD、すなわち標準偏差の値に応じて自動的 に計算を停止します。 この機能は stdcut が正で、 [parameters] セクションにおいて itall=0,1 を指定した場合に利用できます。 1バッチの最後に、タリー結果の STD の相対値がすべて 0 より大きく stdcut より小さい場合、計算は停止します。 2つ以上のタリーセクションで stdcut を設定した場合は、それらすべてが 条件を満たした時にこの機能が動作します。