7.3. [ T-Point ] セクション

[t-point] タリーは、ある点(point detector)やリング状の線分 (ring detector)における fluence を計算することができます。 PHITS は、通常、設定した領域に確率的に入ってくる放射線をタリーするため、 タリー領域が小さくなると、十分な統計精度を得るためには極めて長い計算時間 を要する場合があります。 極端な例として、タリー領域を点や線分に設定した場合、どれだけ計算時間を費 やしても結果を得ることはできません。 [t-point] タリーは、 [t-track][t-cross] タリーの手法とは異 なり、線源位置、もしくは、散乱によって粒子が発生した地点で、タリー位置へ の方向確率と透過確率を計算して評価することができるため、粒子の存在確率が 小さい領域での測定に有効に機能します。 ただし、散乱点での生成粒子の角度分布、エネルギー分布があらかじめ分かって いないと評価できません。 また、物質中での荷電粒子のエネルギー損失があると透過確率の評価が難しいの で、対象粒子は、核データの存在する中性子と光子に限られます。 したがって、 [t-point] タリーの利用条件は次の通りです。

  1. 輸送する粒子はライブラリを使う上限エネルギー(dmax)以下の中性子・光子のみとする。 [1]

  2. 検出可能な粒子は中性子・光子のみとする。

  3. Event Generator mode 及び EGS5 mode を使用しない。 [2]

  4. 面定義で全反射や白色反射の面を利用しない。

本タリーの計算原理や具体的な利用方法については、 \phits\utility\tpoint フォルダにある readme やサンプルインプットをご 参照ください。

表 7.3.1 point

value

explanation

データ数

point detector の個数を指定するオプション。 このオプションの下にサブセクションが必要です。

表 7.3.2 ring

value

explanation

データ数

ring detector の個数を指定するオプション。 このオプションの下にサブセクションが必要です。

表 7.3.3 part

value

explanation

粒子名(省略可)

タリーする粒子。 省略時は neutron photon です。

表 7.3.4 e-type

value

explanation

1, 2, 3, 4, 5

エネルギーメッシュ。 メッシュサブセクションの定義方法は 6.6.1 章 を参照。

表 7.3.5 t-type

value

explanation

1, 2, 3, 4, 5 (省略可)

時間メッシュ。 メッシュサブセクションの定義方法は 6.6.1 章 を参照。

表 7.3.6 unit

value

explanation

1, 2, 3

1: [1/cm^2/source] 2: [1/cm^2/MeV/source] 3: [1/cm^2/Lethargy/source]

11, 12, 13

11: [1/cm^2/nsec/source] 12: [1/cm^2/nsec/MeV/source] 13: [1/cm^2/Lethargy/nsec/source]

表 7.3.7 axis

value

explanation

eng, t

出力データの x 軸。

表 7.3.8 samepage

value

explanation

(省略可, D=part)

画像出力ファイルで同じページに表示するデータの種類を指定します。 axis で指定できるパラメータに加えて、pointring も指定できます。

表 7.3.9 file

value

explanation

file name

出力ファイル名を定義します。 これは axis の各設定に対して必要です。

表 7.3.10 resfile

value

explanation

(省略可, D=file

restart 計算で過去の tally を読み込むファイル名を定義します。 axis を複数定義していても、指定する resfile は1つだけです。

表 7.3.11 factor

value

explanation

(省略可, D=1.0

規格化定数。

表 7.3.12 title

value

explanation

(省略可)

タイトル。

表 7.3.13 angel

value

explanation

(省略可)

ANGEL パラメータ。

表 7.3.14 sangel

value

explanation

(省略可)

ANGEL パラメータの特別な書式。

unit = 3, 13 の場合の Lethargy はエネルギーに関する自然対数目盛を表し ています。 各エネルギービンの上限と下限がそれぞれ \(E_{\rm high}\), \(E_{\rm low}\) のときに、各 Lethargy の幅を \(\ln(E_{\rm high}/E_{\rm low})\) で与えます。

通常のタリーで指定する mesh パラメータの代わりに、 [t-point] タ リーでは、 point もしくは ring パラメータを指定します。 まず、point detector の場合、入力書式は次のようになります。

リスト 7.3.1 point detector の定義例
  [ T-point ]
  point =    1     # number of point detectors
  non     x        y       z        r0
    1     10.0     0.0     50.0     1.0

point=n で point detector の個数 \(n\) を指定します。 ひとつの [t-point] タリーセクションで定義できるポイントの上限数は 20 です。 これ以上のポイントを定義するときは、複数のセクションを用意してください。 次の行には、ポイントを指定する座標(x, y, z)、ポイント周辺の特異領域の 半径(r0)のデータ順を定義します。 読み飛ばしのコラムの指標 non も使えます。 これらのデータの並びを変えるときは、この行で指定してください。 この定義文の下に point= で指定した数だけデータを定義します。 座標は x, y, z 座標 [cm] で指定し、特異領域の半径(r0)も [cm] で指定して ください。 ここで、特異領域の半径については、 \phits\utility\tpoint フォルダにある readme をご参照ください。

次に、ring detector の場合は、次のような入力書式になります。

リスト 7.3.2 ring detector の定義例
  [ T-point ]
  ring =    1     # number of ring detectors
  non   axis    ar       rr       r0
    1    z      50.0     10.0     1.0

ring=n で ring detector の個数 \(n\) を指定します。 次の行には、リングの軸を x, y, z の文字で指定する axis 、原点からリン グの位置までの距離(ar)、リングの半径(rr)、ポイント周辺の特異領域の半 径(r0)のデータ順を定義します。 読み飛ばしのコラムの指標 non も使えます。 これらのデータの並びを変えるときは、この行で指定してください。 この定義文の下に ring= で指定した数だけデータを定義します。 リング軸は x, y, z の文字で指定し、リングまでの距離(ar)とリングの半径 (rr)は [cm] で指定します。 特異領域の半径(r0)も [cm] で指定してください。 ここで、特異領域の半径については、 \phits\utility\tpoint フォルダにある readme をご参照ください。

表 7.3.15 epsout

value

explanation

0 (default), 1, 2

epsout=1 では、結果を eps ファイルとして出力します。 ファイル名は拡張子を .eps に置き換えたものになります。 epsout=2 では、2次元タイプの axis=xy, yz, xz, rz を除いて、eps ファイルにエラーバーも表示します。

表 7.3.16 maxangel

value

explanation

part の数 (default)

eps ファイルに表示する part の数を指定します。 このパラメータはタリー eps ファイルに表示する粒子数だけを制限し、数値データファイルには影響しません。

表 7.3.17 ctmin(i)

value

explanation

(省略可, D=-9999

i 番目の counter の最小値。

表 7.3.18 ctmax(i)

value

explanation

(省略可, D=9999

i 番目の counter の最大値。

表 7.3.19 chmin(i)

value

explanation

(省略可, D=-9999

i 番目の history-counter の最小値。 このパラメータは batch variance mode の istdev=1 では指定できません。

表 7.3.20 chmax(i)

value

explanation

(省略可, D=9999

i 番目の history-counter の最大値。 このパラメータは batch variance mode の istdev=1 では指定できません。

表 7.3.21 stdcut

value

explanation

(省略可, D=-1

STD cut off のしきい値。

stdcut を指定すると、PHITS は STD、すなわち標準偏差の値に応じて自動的 に計算を停止します。 この機能は stdcut が正で、 [parameters] セクションにおいて itall=0,1 を指定した場合に利用できます。 1バッチの最後に、タリー結果の STD の相対値がすべて 0 より大きく stdcut より小さい場合、計算は停止します。 2つ以上のタリーセクションで stdcut を設定した場合は、それらすべてが 条件を満たした時にこの機能が動作します。

表 7.3.22 multiplier

value

explanation

物質数

物質ごとに multiplier を指定します。

(省略可)

このオプションの下に multiplier サブセクションが必要です。 詳細は multiplier サブセクションを参照してください。

表 7.3.23 dump

value

explanation

データ数

Dump機能により出力する粒子情報の数を定義します。

次行: データ定義

出力する粒子情報の順番を 表 6.7.1 に示す粒子情報番号で定義します。

表 7.3.24 iextstat

value

explanation

0 (default), 1, 2

拡張された統計指標出力機能のオプション。 0: 平均値と統計誤差の推移を、全ヒストリー数およびバッチ数の関数として出力します。 1: iextstat=0 の内容に加えて、分散の分散 VOV と figure of merit, FOM を全ヒストリー数およびバッチ数の関数として出力し、統計チェックシートも出力します。 2: iextstat=1 の内容に加えて、タリー結果の確率密度分布 PDF を出力します。 この場合は、まずテスト計算でタリー結果の範囲を確認してから、出力範囲を設定して本計算を行ってください。

拡張された統計指標出力機能を使用する場合は、 [parameters] において itall=3 とし、対象とするタリーで anatally サブセクションを設定した上 で、 iextstat を指定してください。 Anatally サブセクションは、タリーセクション中で anatally startanatally end の行に挟まれた領域で定義します。 iextstat=2 で PDF を出力させる場合、対象とするタリー結果の取り得る範 囲がわかっている場合は、 prodenmnprodenmxnbproden パ ラメータによって PDF の出力範囲を指定し、本計算モードで PHITS を動かして ください。 範囲がわからない場合は、これらの3つのパラメータを指定せず、テスト計算モー ドで PHITS を動かし、その範囲を確認してから本計算モードに進んでください。 なお、 iextstatprodenmnprodenmxnbproden は anatally サブセクションの外側で指定するようにしてください。 拡張された統計指標出力機能についての詳細は、拡張統計指標の説明箇所を参照 してください。

表 7.3.25 prodenmn

value

explanation

(省略可, D=1e-2

PDF 出力範囲の下限。

表 7.3.26 prodenmx

value

explanation

(省略可, D=1e+2

PDF 出力範囲の上限。

表 7.3.27 nbproden

value

explanation

(省略可, D=100

PDF 出力の分割数。 対数目盛です。