1. DCHAIN入力ファイルの概要

現行のDCHAIN-PHITSコード(2019年以前、PHITS 3.14以前はDCHAIN-SPと呼称)の入力ファイルは、ユーザーが値を指定する一連のキーワード引数からなり、機能別に約10個の「カード」へ分類される。厳密には、大部分の入力パラメータをカードに分ける必要があるのは従来のDCHAIN入力形式だけであるが、機能ごとにまとめることは入力内容の整理に役立つ。

本マニュアルはDCHAIN入力パラメータの単独の解説書として使用できる。ただし、DCHAINは主としてPHITSの[T-Dchain]タリーと連携して使用することを想定している。[T-Dchain]はDCHAIN入力ファイルと、DCHAIN計算に必要な複数の補助ファイルを自動生成する。 DCHAINのほぼすべての入力パラメータは、PHITSの[T-Dchain]タリーで同名のパラメータを用いて指定できる。DCHAINの計算手法の詳細については、DCHAINの主要参考文献 [RMA+20]、および旧版の資料である JAERI-Data/Code 99-008 [TK99]JAERI-M 8727 [Tas80] を参照すること。

DCHAINはFortranで記述されているため、特に明記しない限り、I~Nで始まる変数は整数型、それ以外の変数は実数型である。文字列変数は通常Hで始まる。DCHAIN入力ファイルでは、パラメータ名をすべて大文字(EXAMPLE)またはすべて小文字(example)で記述する必要がある。大文字と小文字が混在した名前(Example)は認識されない。

パラメータは、キーワード名、両側に1個以上の空白を置いた等号(=)、設定値の順に、通常「keyword= value」の形式で記述する。キーワード名と等号を記述するのは、1行に値を1個だけ指定する項目であり、大部分のパラメータがこれに該当する。カード6a、7a、9a、9bなど、1行または連続する複数行に複数の値を指定する項目では、キーワード名と等号を省略する。

1行の最大長は1350列である。1列目がアスタリスク(*)または感嘆符(!)の行は、コメント行として扱われる。また、行の途中に感嘆符(!)を記述した場合、その右側はすべてコメントとして扱われる。

3節 では、DCHAINで使用できる入力パラメータをカード別に説明する。各パラメータの既定値は、該当する場合「(D=値)」の形式で示す。PHITSの[T-Dchain]タリーが設定する既定値とDCHAIN本体の既定値が異なる場合は、DCHAINの既定値と併記して「(DP=値)」と示す。この違いは通常、新機能を追加する際に従来の計算へ影響を与えないようにした結果である。両者の既定値が異なる場合は、一般にPHITS側の既定値を推奨する。

各パラメータには、[T-Dchain]で同名のパラメータとして設定できるか(PHITS: same name)、別の方法で設定されるか(PHITS: other means)、またはDCHAIN入力ファイルでのみ変更できるか(PHITS: not settable)を示す注記を付している。

一部の入力パラメータに関する補足説明、およびDCHAIN全般に関する情報については、4節 を参照すること。

DCHAIN-PHITSを利用した結果を公表する場合は、DCHAINの主要参考文献 [RMA+20] を引用すること。