よくある質問(最終更新日2024/04/19)


質問カテゴリー

1 パラメータ設定関連
2 エラー,コンパイル関連
3 タリー関連
4 線源生成関連
5 PHIG-3D関連
6 その他

1 パラメータ設定関連

Q1.1 Ver.2.88以前で動いていたインプットファイルがそれ以降のversionで動きません。

Ver.2.89以降,ミスを誘発しやすい仕様をいくつか変更しています。 基本的には,従来のインプットをそのまま使えるように設計していますが,場合 によってはインプットの修正が必要になる場合があります。 以下,その例です。

  1. Ver.2.89以降では天然炭素の記号Cとの混同を防ぐため[material]でcをコメントマークとして利用できません(それ以外のセクションでは引き続き利用可能です)。 [material]でエラーが出るようになった場合は,コメントマークとして使っているcを$や#に変更するか,[parameters]セクションにicommat=1と追記してください。
  2. 光子や電子の輸送のみを行う場合,従来は中性子の核データがなくても問題ありませんでしたが,Ver.2.93以降は自動的に中性子の核データを利用する設定になっているため"There is no cross section table(s) in xsdir"というエラーが出てしまいます。 この場合は,[parameters]にnucdata=0と追記して核データを使わない設定に変更してください。
  3. Ver.2.96以降では,[parameters]セクションが2つ以上ある場合,エラーを出して実行を止めるようにしました。 2つ以上定義している場合は,1つに統合してください。
  4. Ver.2.96以降,icntlに応じて不要なタリーを自動的にoffにするようにしました。 自動的にoffにされたタリーセクション内にsetやinflコマンドがある場合,それらも無効になりますのでご注意ください。 なお,Ver.2.96以降,offされたセクション内にsetやinflコマンドがある場合はwarningが出力されます。
Q1.2 電子・陽電子が輸送されません。

電子・陽電子の計算には時間が掛かるためデフォルトでは輸送しない設定になっています。 電子・陽電子を輸送したい場合は,negs=1としてEGS5モードを利用するようにしてください。

Q1.3 核反応モデルに関して、デフォルトの設定は最も精度がよい設定ですか?

基本的にはそうなるように設定していますが,重イオン核反応や高エネルギー核反応により生成される残留核の収率を精度よく計算したい場合は,irqmd=1やismm=1のオプションを利用することを勧めています。 ただし,これらのオプションを有効にすると,計算時間が長くなってしまう場合があります。

Q1.4 イベントジェネレータモードは、どのような場合に使えばよいのでしょうか?

イベントジェネレータモード(以下、e-mode)を使った方がよい計算は、検出器の応答関数計算や、半導体ソフトエラー発生率の計算など、イベント毎の情報が必要となる計算です。 具体的には、[t-deposit], [t-let], [t-yield]などを使う計算では、e-modeを使った方がよい場合が多いです。 逆に、使わない方がよい計算は、中性子束やガンマ線束だけを求める遮蔽計算などです。 [t-track], [t-cross]などしか利用しない場合は、一般的にe-modeを使う必要はありません。 詳しくはマニュアル「4.2.23 Event Generator Mode」をご参照ください。 なお,version2.76からイベントジェネレータモードを使う場合の奨励値はe-mode=2となっていますので,ご注意ください。

Q1.5 統計誤差導出方法(istdevの設定)はどういう条件で切り替えれば良いですか?

バッチ分散モード(istdev=-1 or 1)しか選択できないメモリ共有型並列計算の場合を除き、基本的に全ヒストリー数(maxcas*maxbch)で統計 誤差を評価するヒストリー分散モード(istdev=-2 or 2)の方を推奨します。 しかしながら、ヒストリー分散モードでは、ヒストリーの計算が終了する毎に誤差情報を記録するため、タリーのメッシュ数が大きい場合(xyzメッシュでnxやnyを数1000ずつ設定するなど)には、計算時間が異常に長くなる可能性があります。 そのような条件で計算する際は、バッチ分散モードに切り替えて、maxbchを十分に大きく(10以上)設定するようにしてください。

Q1.6 JENDL以外の核データをPHITSで使うことは可能でしょうか?

ACEフォーマット(MCNPが読み込める形式)であれば可能です。 ただし、20 MeV以下の中性子ライブラリとそれ以外で手順が変わります。
  1. 20 MeV以下の中性子ライブラリの場合
    1. 新しく入手した核データに付録されているxsdirファイルをテキストエディタで開き,核データのアドレス情報に関する部分(例えば1001.80c 0.999167 xdata/endf71x/H/1001.710nc 0 1 4 17969 00 2.5301E-08)を全てコピーする。
    2. PHITSのdataフォルダ内にあるxsdir.jndをテキストエディタで開き、その180行目付近にあるdirectoryの下に、コピーした内容を貼り付ける。 上に書かれている方が優先されるため、最初のJENDL-4.0のアドレス情報(1001.50c 0.999167 neu/H\_001.j40n\_300K 0 1 1 30720 0 0 2.585E-08)より上にペーストしてください。
    3. PHITSのXSフォルダ内に、上記アドレス情報が一致するように新しく入手した核データファイルをコピーする。 例えば、上記のアドレス情報であれば、XSフォルダ内にxdata/endf71x/Hフォルダを作って1001.710ncファイルをその中にコピーする。
  2. その他のライブラリ(陽子・重陽子・光核反応・高エネルギー中性子ライブラリなど)の場合
    1. 新しく入手した核データに付録されているxsdirファイルをテキストエディタで開き、核データのアドレス情報に関する部分(例えば1001.80c 0.999167 xdata/endf71x/H/1001.710nc 0 1 4 17969 0 0 2.5301E-08)を全てPHITSのdataフォルダ内にあるxsdir.jndの末尾にコピー&ペーストする。
    2. PHITSのXSフォルダ内に、上記アドレス情報が一致するように新しく入手した核データファイルをコピーする。 例えば、上記のアドレス情報であれば、XSフォルダ内にxdata/endf71x/Hフォルダを作って1001.710ncファイルをその中にコピーする。
    3. [parameters]セクションでlib(i)により、使うライブラリを明示的に指定する。 例えば、上記のアドレス情報であれば、lib(2)=80cと指定する。 また、使用するライブラリの最大エネルギーをdmax(i)で設定する。 なお、指定された核種に対するライブラリーがない場合、警告メッセージが表示された上で、核反応モデルが自動的に利用される。
最新版ENDFのACEフォーマットファイルは下記よりダウンロード可能です。
https://nucleardata.lanl.gov/ace/lib80x/
この中には、アドレスファイルとしてxsdir及びxsdir_2.0が含まれますが、xsdirの方をお使い下さい。また、xsdir.jndにコピーした後、2行に跨がるデータがある場合は、「+」を「ptable」に一括置換してください。

Q1.7 光核反応により生成する粒子(中性子・放射性核種)の統計を効果的にためる方法はありますか?

pnimulパラメータを使うことにより,他の反応(コンプトン散乱など)と比べて光核反応を起こしやすくすることができます。 例えば,pnimul=2.0とすると,光核反応を引き起こす確率を2倍にする代わりに,光核反応で生成した粒子のウェイトを1/2にします。 ウェイトを変化させるので,イベント毎の情報が必要な場合は使えません。 また,pnimulパラメータを大きくしすぎると(100以上),光子・電子の挙動がずれてきてしまいますので,本パラメータを使う場合は,光子・電子の挙動(フラックス・線量など)が大きく変動しないことを確認しながら使ってください。

Q1.8 再開始計算を行おうとすると,タリーを変更していないにも関わらず「Error: inconsistent tally parameters」というエラーが出て止まります。対処方法はありますか?

この問題は,桁落ちの関係で新旧タリーのパラメータが異なるとPHITSが認識してしまうことにより発生します。 タリーで使うパラメータを複雑な数式などで定義した場合によく発生します。 この問題が生じた場合は[parameters]セクションでireschk=1と設定し,タリーの一致性をチェックしないモードで再開始計算を実行して下さい。


2 エラー,コンパイル関連

Q2.1 コンパイルがうまくできません。

PHITSのコンパイルに関しては,基本的にはマニュアル「2.4 Makefileを利用したコンパイル」をご参照ください。 PHITSは,Intel Fortran 11.1以降及びgfortran 4.7以降でコンパイル可能です。 ただし,Windowsのgfortran ver. 4.9 - 5.4では正しくコンパイルできませんので2.4節をご参照の上,最新版をインストールしてください。 なお,PHITS事務局が奨励するコンパイラは,計算速度の観点からIntel fortranです(Q2.6参照)。

Q2.2 巨大な体系について計算しようとすると、Segmentationエラーが起きてしまいます。

PHITS では使用するメモリの最大値をあらかじめ定義しており、実際に必要となるメモリがその最大値を超えてしまうと、Segmentationエラーを引き起こします。 使用するメモリの最大値 は、「src」フォルダにある「param.inc」中のmdasパラメータで定義されていますので、必要に応じてこの値を大きくし 再コンパイルしてください。 詳しくはマニュアル「2.6 配列の大きさ」をご参照ください。 また、ボクセルファントムなど巨大なLattice 構造を扱う場合は、同時にlatmaxパラメータも大きくしてください。 なお、Windowsでは1つのFortranプログラムが2GB以上のメモリを使用することは許されていませんので、mdasの上限値は268435450です。 それ以上のメモリ領域が必要となる計算には、64bitのWindowsもしくはLinuxをお使い下さい。

Q2.3 外部ファイルを取り込むためのコマンド「infl:」が使えません。

infl:コマンドを使うためには、インプットファイルの1行目に「file=インプットファイル名」と書いておく必要があります。 もしくは,通常のPHITS用インプットファイルの他に、別のファイルを準備し,そのファイルの先頭行に「file=通常PHITS のインプットファイル名」と書いて実行することも可能です。 詳しくは,マニュアル「2.7 実行シェル」をご参照ください。 なお、PHITS ver. 3.00以降では、file=は必要ありません。

Q2.4 Windowsでは実行できるインプットファイルがLINUX やUNIXでは実行できません。

いろいろな原因が考えられますが、WindowsとLINUX系(UNIX含む)では、リターンコードが違いファイルの転送に失敗している可能性があります。 通常、WindowsからLINUX系にファイルを転送する際、FTPなどのプロトコルを使うと思いますが、その転送の際、アスキーモードとバイナリーモードというのがあり、アスキーファイル(PHITSのインプットファイルなど)は、アスキーモードで転送しないと、ファイルが破損してしまう可能性があります。 お使いの FTPソフトの設定をご確認ください。 なお、Windowsで作られたバイナリファイル(PHITSの実行ファイルなど)をLINUX系に転送しても、通常、正しく動作しません。

Q2.5 Cygwin上でPHITS は動作しますか?

はい。PHITSのmakefileにあるCygwinの項目をご参照ください。

Q2.6 Intel fortranとgfortran,どちらがPHITSをコンパイルするのに適していますか?

基本的には,Intel fortranを使うことをお勧めいたします。 理由は,計算速度が速いためです。 gfortranでは,最適化オプションを付けると正しく動作しない場合があるため,奨励の最適化オプションは-O0(すなわち最適化しない)です。 したがって,平均で3-5倍くらいの計算速度の差があると考えています。 また,最新のgfortranではPHITSを正しくコンパイルできない問題もあります(Q2.1参照)。 ただし,Intel fortranはLinux版を含めて有償ですので,その点,ご留意ください。

Q2.7 メモリ分散型並列(MPI)と共有型並列(OpenMP)はどのように使い分けるのがよいでしょうか?

MPIプロトコルがインストールされたコンピュータであれば,基本的にMPIの方が計算速度は速くなります。 ただし,通常のWindowsやMacにはMPIプロトコルがインストールされていませんので,簡単に並列計算を実行したいのであれば,OpenMPを使うことをお勧めしています。 また,ボクセルファントムや高エネルギー核データライブラリなどの巨大なメモリを使用する計算では,MPIだとメモリ容量をオーバーしてしまう場合があります。 その場合は,MPIとOpenMPを組み合わせたハイブリッド並列を実施する必要があります。 その際,メモリの許す限りできるだけMPI並列数を増やした方が計算速度は速くなります。 ただし,ジョブコントロール用にもOpenMP並列数分のコアを使用しますので,MPI並列数の設定にはご注意ください。 例えば,128コアの計算機を使ってOpenMP並列数8で計算する場合,指定できるMPI並列数は,128/8-1 = 15,となります。

Q2.8 DCHAIN-SPを実行した際に、「指定されたファイルが見つかりません」といったエラーが表示されます。

DCHAIN-SPのインプットファイルやinflコマンドを含むPHITSのインプットファイルが全角文字を含むフォルダ名の中に置かれている場合、適切に動作しません。 その場合は、半角文字のみのフォルダ名に変更してください。

Q2.9 Lost particleが頻発します。どう対処したらよいでしょうか?

いろいろな理由が考えられますが、最も多いのは、ジオメトリに2重定義や未定義領域がある場合です。 [t-gshow]やicntl=8オプションを使ってジオメトリを描画し、黒や紫の部分がないか確認してください。 また、ジオメトリが正しく定義されていても、以下のケースに該当する場合はLost particleが頻発する可能性がありますので、入力ファイルの修正が必要となります。
  1. 線源発生位置もしくは線源の進行方向とセルの境界面が完全に一致している場合。この場合、線源の発生位置に少し幅を持たせてください。 例えば、x=0に線源とセル境界面がある場合、線源の発生位置をx0=x1=0とするのではなく、x0=0, x1=0.001のようにしてください。
  2. Lattice構造を[transform]で回転させ、かつLattice構造を入れる外枠セルとLattice構造そのものの大きさが完全に一致している場合。 この場合、Lattice構造を入れる外枠セルを少しだけ小さくしてください。 詳細は応用実習:ボクセルファントムの作り方をご参照ください。
  3. [weight window]のxyzメッシュ境界面とセルの境界面が完全に一致している場合。 この場合、[weight window]のxyzメッシュを少しずらして定義してください。 また、[t-wwg]を使って[weight window]を作成する場合は、[t-wwg]で定義するxyzメッシュを少しずらしてください。 特に、パラメータを使ってジオメトリとxyzメッシュ範囲を連動させている場合はご注意ください。 なお、version 3.34より、[weight window]及び[t-wwg]のxyzメッシュ最大値・最小値が整数で定義された場合は、その整数から最小値は-1*deltxyz、最大値は+2*deltxyzずらすようにしています。
なお、上記いずれにも該当しない場合でも、桁落ちの関係でどうしてもLost particleが出てしまう場合があります。 その場合、おおよその目安として、数1000ヒストリに1回程度の頻度であれば、無視して問題ありません。 それ以上の頻度であれば、PHITS事務局までご連絡ください。

Q2.10 LinuxでPHITSのOpenMP並列計算ができません。ライブラリlibiomp5.soが必要というメッセージが出ます。

OpenMPによる並列計算のためにはlibiomp5.soのライブラリのインストールが 必要になる場合があります。この場合,各ディストリビューションの手順に従 いlibomp-devをインストールしてください。例えばUbuntuでは、
 sudo apt-get install libomp-dev
でインストールできます。これにより,
 /usr/lib/x86_64-linux-gnu/libomp.so.5
のライブラリがインストールされます。次に,このディレクトリに移動
 cd /usr/lib/x86_64-linux-gnu/
し,libiomp5.soにシンボリックリンクを作ります。
 sudo ln -s libomp.so.5 libiomp5.so
これにより,libiom5.soのライブラリが認識されるようになり、PHITSの OpenMP並列計算が可能になるはずです。

Q2.11 LinuxでPHITSを実行しようとすると、「GLIBC_2.34 not found」の様なエラーがでます。

PHITSパッケージに付属しているLinux用の実行ファイルは、新しいバージョンのGLIBCライブラリを使用しています。このため、古いLinuxのOS(例:Ubuntu 20.04LTS)では、このようなエラー出て実行できません。この場合、OSのアッ プデートを検討していただくか、ご自身の環境で、PHITSのソースを再コンパイルしていただく必要があります。再コンパイルにはFortranコンパイラが必要となりますので、Intel FortranやGfortranなどのFortranコンパイラを用意 してください。PHITSのソースコードはphits/srcフォルダに含まれています。makefileの中のENVFLAGSの値をご自身の環境に合わせて変更し、makeコマンドを実行することで、簡単にPHITSの再コンパイルをすることができます(PHITS マニュアル10.3章参照)。

Q2.12 無限ループや計算の異常終了など、明らかにPHITSのバグと思われる症状が発生します。どうしたら良いでしょうか?

問題が発生したインプットファイルの1行目に$DBG=1と追記してPHITSをデバッグモードで実行してください。 何かエラーメッセージが出たら、そのメッセージを実行したPC環境の情報とともにPHITS事務局までご連絡ください。


3 タリー関連

Q3.1 [t-heat]と[t-deposit]は何が違うのでしょうか?

共に放射線による付与エネルギー(発熱)を出力するタリーです。ただし、[t-heat] でしか実行できなかったカーマ近似による計算は、 version 3.05 以降、[t-deposit] でも可能となったため、現在[t-heat] の利用は奨励していません。

Q3.2 [t-track]で重イオンのtrack lengthを計算すると、結果が不自然なのですが。

重イオンのエネルギーは、入射エネルギーや切断エネルギーに対しては核子あたりのエネルギー(MeV/u)で指定しますが、タリーの中でエネルギーを 指定する場合は、核子あたりではなく、全エネルギー(MeV)で指定します。 タリー結果をMeV/uの単位で出力させたい場合は、[parameters]においてiMeVperu=1としてください。

Q3.3 [t-let]、[t-sed]の結果が不自然なのですが。

letmatでLETを計算する物質を指定する際、その物質がPHITSの体系内で使われている場合、密度はその体系内で使用している密度となります。 例えば、水蒸気内の発熱量に対するLET 分布を、液体の水(1g/cm3)に対するLETの関数として計算したい場合、[Material]で2つの水を定義し、1つをPHITSの体系内で使用し、もう1つをletmatで使用する必要があります。 また、letmatで使用する物質の密度は、原子数密度の絶対値(1H 6.893407e-2 16O 3.446704e-2)を指定してください。 詳しくは,奨励設定ファイルのParticleTherapyをご参照下さい。 また,[t-let]の場合,LETメッシュ幅を細かく設定しすぎると結果がガタガタしてしまいますので,あまり細かいメッシュ幅を設定しないようにしてください(1桁10メッシュ程度まで)。

Q3.4 タリー結果の誤差はどのように計算されているのでしょうか?

バージョン2.50より、正しく計算できるように修正しました。 詳しくはマニュアル「4.2.2 ヒストリー数、バンク配列の大きさ」をご参照ください。

Q3.5 並列計算でdumpモードは使えるでしょうか?

基本的には使えます。ただし,メモリ共有型(OpenMP)並列の場合は,1つのファイルに全てのノードからの情報を書き込むため,書き込む順番がヒストリー番号毎に並ばなくなってしまいます。 一方,メモリ分散型(MPI)並列の場合は,dumpファイル名にコア番号付けたファイルを出力しますので,そのような問題は起きません。

Q3.6 mesh=regとmesh=xyzを用いて同じ直方体内のフラックスや発熱量を計算した場合に、それぞれの結果が異なるのですが。

タリー結果を単位体積あたりに規格化して出力する場合、xyzやr-zメッシュではタリー領域の体積を自動的に計算して出力しますが、regメッシュの場合は、[volume]セクションで体積を指定しない限り体積を1cm3として出力します。 例えば、mesh=regで[volume]セクションがない場合、[t-track]のunit=1[1/cm2/source]とunit=4[cm/source]は同じ値を与えます。

Q3.7 [t-deposit]でoutput=depositとした場合に入射エネルギーよりも高いイベントが発生するのはなぜでしょうか?

発熱する核反応(Q値が正)が発生すると,入射粒子よりも2次粒子の合計エネルギーが高くなるため,入射エネルギーよりも付与エネルギーが大きくなる場合があります。 また,xyzメッシュもしくはr-zメッシュかつエネルギー分散を考慮した場合(nedisp≠0),エネルギー分散の考慮方法の仕様により,イベント毎 の情報が正しく計算できなくなってしまいます。 そのような場合は,mesh=regとして,[cell]セクションで領域を細かく分割して計算してください。

Q3.8 axis = xzで表示する際、横軸と縦軸を入れ替えることは可能でしょうか?

可能です。まず、該当タリーのx-typeとz-typeに関連するパラメータを入れ替えます。次に下記3行をそのタリーに追加します。
trcl = 0 0 0 0 0 1 0 1 0 1 0 0
x-txt = x [cm]
y-txt = z [cm]
これで図が90度回転します。

Q3.9 タリーを増やすと計算時間が長くなるのですが対策方法はありますか?

メッシュ数の多い場合などメモリ使用量の多いタリーを使うと、ヒストリー毎のメモリ初期化の計算時間がボトルネックになる場合があります。 その場合は、istdev=1(バッチ分散)やitalsh=1(タリーメモリの共有化、OpenMPのみ)を試してみてください。 また、version 2.94から3.24の間は、[t-dchain]及び[t-yield]を使うと計算時間が最大で5倍くらいになってしまいますので、これらのタリーを使った計算で計算時間にお困りの方は、PHITS事務局までご連絡ください。
Q3.10 sum overの値に対する統計誤差が知りたいのですが、簡単に出力できるでしょうか?

残念ながらできません。sum overの統計誤差が必要な場合は、メッシュ数を1にして、sum overの値を計算する専用のタリーを新たに設定してください。

Q3.11 stdcutを使って計算を打ちきる際、全てのメッシュではなく特定のメッシュに対する統計誤差のみチェックする方法はあるでしょうか?

残念ながらありません。一部のデータのみチェックしたい場合は、メッシュをチェックしたい領域に限定した新たなタリーを設定して、そちらにstdcutを定義してください。

Q3.12 PHITSのタリーとMCNPのタリーとの対応を教えてください。

以下の通りです。
F1: Surface Current → [t-cross] with output = current
F2: Surface Flux → [t-cross] with output = flux
F4: Track Length cell flux → [t-track]
F4: with FM card: Reaction number → [t-interact],[t-yield],[t-product]
F5: Flux at a point and ring → [t-point]
F6: Energy Deposition → [t-deposit] with output = dose
F8: Pulse Height → [t-deposit] with output = deposit

Q 3.13 [t-cross]でmesh=regで計算した結果と同じ領域をmesh=xyzやr-zで定義して計算した結果が異なるのですが。

[t-cross]でmesh=regの場合は、タリー面の表面積(area)を定義しないと絶対値が/cm2に規格化されません。 また、mesh=r-zの時にメッシュの側面が円柱状のあるセルの側面と一致する場合や、mesh=xyzの時に座標変換によって存在するセルの境界面とタリー面が一致する場合は、桁落ち誤差により数え落としが発生してしまうので、そのような場合はメッシュサイズを微妙に変化させて境界面と一致しないようにしてください。

4 線源生成関連

Q4.1 等方線源ソース(s-type=9, dir=-all)のときの規格化はどのようにすればよいですか?

等方線源の球の内側に何もなければ、球の中のフルエンスは 1/(πr12) (/source)で規格化されます。 ここで、r1 は球の半径です。 タリー出力 (/source)を単位フルエンスへ変換したい場合、結果にπr12をかける必要があります。
ただし、等方線源を生成するときは、ウェイトコントロール法が用いられているので、イベント毎の情報を、等方線源を用いたシミュレーションから得ることができません。 等方照射に関するイベント毎の情報を得たい場合は、 [source]セクションで、"dir = iso" と設定して下さい。

Q4.2 PHITSで認識する線源領域が、実際の領域とずれるのですが。

面線源や点線源を定義する際、その面や点が、Cellで使うsurfaceと完璧に一致している場合、PHITS の中で認識する線源領域が実際の領域とずれる場合があります。 このような状態を避けるため、面線源や点線源は、cellで使う面とは少しずらして作成するようにしてください。 また、特定の面に完璧に平行なビームを発生させた場合も同様のエラーが起きる可能性がありますのでご注意下さい。


5 PHIG-3D関連

Q5.1 WindowsでPHIG-3Dを起動しようとすると「VCOMP140.DLLが見つからない」というエラーが出て止まってしまいます。

Microsoft Visual C++ 2015 再頒布可能パッケージ(https://www.microsoft.com/en-US/download/details.aspx?id=53840)をダウンロードしてインストールしてみてください。 これでもエラーが解消されない場合は、事務局までご連絡ください。

Q5.2 文頭にset:cXX[X.X] を記載すると、PHIG-3Dが立ち上がりません。

[parameters]セクション以下に、set:cXX[X.X] を記載してください。

Q5.3 [Material]セクションにおいて、"C"で始まる行を記載すると、"too few material input" のエラーメッセージが出ます。 例えば、以下の状況でエラーとなります。
  mat[5]
        C 2 H 4

"C"で始まる行を避けるため、以下の通りに修正してください。
  mat[5]   C 2 H 4

Q5.4 MacでPHIG-3Dを起動しようとすると「開発元を検証できないため開けません」というエラーが出てしまいます。

コントロールキーを押しながら右クリックしてショートカットメニューの「開く」を選んで起動してください。 また、「システム環境設定」->「セキュリティとプライバシー」から許可を与えることも可能です。

Q5.5 描画ボタンを押すと「Not enough free memory」というエラーが出ます。

PHITS本体を含む他のアプリなどがメモリを大量に使用している可能性がありますので、もし他のアプリが動いているならそれらを停止してから再度試してみてください。 それでもうまく行かない場合は、左のタブにある「Setting」をクリックして「解像度(サンプリングレート)」の「点数/セル」の数値を小さくしてください。


6 その他

Q6.1 規制庁への加速器施設や廃棄物保管庫等の許認可申請において、PHITSによる遮蔽計算の結果を使用することができるでしょうか?

RI法の申請においては、PHITSが認められています。 J-PARCをはじめとして、放医研の新治療棟、 北大の陽子線治療施設、神奈川がんセンターの重粒子線治療施設等で、実績が多数あります。 一方、炉規法に関しては、申請において認められるかどうかに未確認です。 許可取得例をご存知でしたら、事務局までご一報ください。 これまでにユーザーの皆様からいただいた情報は、こちら(pdfを開きます)にまとめています。

Q6.2 PHITSで得られた解析結果を商用目的で利用することは可能でしょうか?

基本的には可能です。例えば,PHITSの解析結果を元に新しい検出器を開発して販売することや,外部機関から加速器の遮蔽設計を請け負って対価を得ることも問題ありません。ただし,PHITSを含む商品(例えばPHITSの実行ファイルが含まれる治療計画システムなど)を開発して販売する場合は,原子力機構と商用利用契約を結んでいただく必要があります。そのような計画がある場合は,早めに事務局までお知らせ下さい。

Q6.3 放射線に関連する物理現象でPHITSで扱えないものは何でしょうか?

PHITSは個々の放射線の挙動をモンテカルロ法を用いて解析するため,複数の放射線による影響(電流や放射線自身が作る電場の影響など)を考慮することができません。また,物理過程の後に引き起こされる化学過程や材質の変化は模擬することができません。詳しくは,PHITSで扱えない物理現象リストをご参照ください。

Q6.4 インストーラを削除してしまったため、新しいPCにPHITSをインストールできません。どうしたらよいでしょうか?

ホームページの「連絡・質問」ページから「新バージョン請求」を選択して,「使用しているPHITSのバージョン」欄に「新規インストール希望」と書いて送信してください。事務局でユーザー登録の有無を確認し,登録済みであれば最新版を無料でお送りいたします。

Q6.5 大規模な並列計算を実行したいのですが、PHITSがインストールされた共用のスパコンはありますか?

PHITSがインストールされた共用スパコンは、公益財団法人 計算科学振興財団(通称FOCUS)より有償で利用可能です。なお、このスパコンにインストールされたPHITSを使う場合でも、PHITSの ユーザー登録は各自で必要となります。